ああ、私は罪を犯したんだ。


カミサマは見逃してくれなかった。


禁忌を犯した私を。



まぁ、別に良いんだけどね・・・
















Square One #1










ぱちり、と目は覚めた。
清清しい感じさえするのに何処か違和感を覚えて薄く笑った。


分かっている。
今、どういう状況に立たされているのか。



辺りをぐるりと見回すと、どうやら大きなクレーターの中心に立っているようだった。


風吹かれて飛んできたチラシが音を立てて足元を横切るのを、勢い良く踏んで止める。


拾い上げると意味の分からない記号の羅列があった。





「やっぱり他の世界に飛ばされちゃったか・・・」



空を仰ぎ見ながら呟いた。



『無茶をするからだ』



そんな声が聞こえてきて私はギロリと腰に下げている大き目の鉄扇を睨んだ。
柄の中心部にある丸い宝石が光った。



「うるさい、てか、アンタも共犯じゃない。ライン。」






過去の文明遺産・喋る武器。
この武器は喋るのだ。

どうやら過去の遺跡から発掘されたもので、まだ世界で6つ(種)しか発見されていない。
本体は武器というよりも武器についてる宝石で、刀、剣、槍などが今まで発見されている。

誰が、どんな技術をもって製作したのかは全く不明。
私とラインフォードの付き合いはかれこれ3年になる。




『跳ぶのに手を貸してくれと、泣きながら頼み込んだのはどこのどいつだ』

「・・・・・・・」



私はラインを一瞥すると、ともかく何処かの町で情報収集でもしようかと歩き出した。

仕方が無かった。

私はどうしても変えたい過去があって、ラインに泣きついてそれを実行した。
でも時空を超えること、歴史を変えることは禁忌で。多分、その禁忌を犯した私は何らかの力で飛ばされてしまったんだろう。

全然悔いは無い。



大切な人たちが死なずに済んだのだから。




『しかし、此処がどんな世界なのか、全く検討がつかないな』

「全くだわ。ご飯食べたくてもお金無いしねー」



食が大事な私にとってはとてつもなく痛い。



「いざとなれば、ラインが立体映像化して、曲芸でもすればいいんじゃない?」

『私にそんな芸は無い。』



冗談なのに、不機嫌そうな声が返ってきた。
愛想の無い奴。




















町までは10分ほどで着いた。
ま、走ればこんなもんね。


とりあえずどんな所なのか、情報を集めようと、町を歩き回る。



比較的賑やかな町らしいが、飛び込んでくる文字はさっぱり分からなくて首を傾げる。
喋る言葉が分かるのがせめての救いだわ。


あちこち歩き回るのはいいが、お金もないから店に入ることも出来ず、うろうろしていると、公園にたどり着いた。
ベンチがいくつかあり、犬の散歩する人、遊びまわる子ども、コーヒー片手に新聞を読む人がいた。


空いてるベンチに腰掛けた。
幸い日が当たらなくていい感じ。
お金が無くて色々買えないからなるべく体力は温存しておきたい。



ごろん、とベンチに横になった。



「ホームレス・・・なんてことには、ならないよね・・・きっと。」

『さぁな。』



むっ
相変わらずむかつくなぁ



「あんたね、人事だと思って」

『所詮人事だ。仕方あるまい。』




本当に相変わらず。


しかし、本当にどうするかなーと考えていると、ベンチの下に転がっている宝石を見つけた。
気だるげに手を伸ばして拾い上げてみると、それは中々良さげな宝石だった。



「わお、素敵!これ売ればちょっとはお金入りそうじゃない?中々というか、大分良いものだよ?」



自慢じゃないが、そこらへんの目は利くと思う。
私は相変わらずベンチに寝転がったまま宝石を眺めた。



真っ赤な宝石。
なんていう種類の宝石かはさっぱりだが、値打ちもんだっていうのは分かる。



『ふむ・・・そうだな、結構良い値で売れるんじゃないか?』




やった〜


と嬉しそうに宝石を眺めていると、近づいてくる気配がして、私は視線をその方向へ向けた。







「お嬢さん、ソレ、俺のなんだ。」




20くらいの青年。
中々格好良いと思う。
けど、そろそろ暑いのに、その黒のスーツでデコに包帯巻くのはどうかと思う。
ちょっと暑そう。

何よりガッカリ。
折角お金になりそうだったのに。



「そうなの?」

「そうなの。拾ってくれて有難う。」



私はむくりと起き上がって青年に宝石を差し出した。



「はい。もう落としちゃ駄目だよ?」



小さい子に嗜めるような言い方になってしまって、自然と笑ってしまった。
多分私よりも2,3歳年上だと思うんだけど。
しっかしこんな高価なもん、普通落とす?
変な人だなぁ〜



「そうだね。」


くっくっと青年は笑った。



「ところで、暇?お礼に何か奢るけど」

「ほんと!?」



素敵!今日は何も食べれないかと思ってたけど何とかなるもんねぇ。
普通は遠慮するところだけど、今はそう言っていられない。

私は二つ返事で青年のご好意に甘えることにした。



「じゃぁ、あの通りに美味しいパスタ屋があったから、そこで良いかな。」

「いやいや、もう何処でも良いよ」



食べれるんだったら、何処でもオーケィですから。



ということで、私達はパスタ屋へと行くことにした。
暫くラインには黙って貰おう。



























ヒロインはちょおっと変わった異世界から来たひとです。
ラインは一応男だけど、なんていうか、保護者な感じ?
























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