目の前の女は美味しそうにパスタを頬張った。
俺の気まぐれもいいとこだ。
だが、何か気になる。
雰囲気が、何処か違っていた。
そもそも、ウヴォーとノブナガが取ってきたうちの宝石、それも一番欲しかった宝石を落としてきたのが始まりだった。
「わり、団長、”血の涙”落としてきちまった」
そこで、今日この町に用があった俺が用事を片付ける傍ら『血の涙』を探しに来たわけだが、なんとそれをベンチに横になってぼーっとしてる女が眺めていたのだから驚いた。
真っ黒な髪に青い瞳。
赤い『血の涙』と対照的で何処か惹かれた。
そして変わっている雰囲気。
女は異質な空気を持っていた。
しかも気配が近づくとさりげなく構える。
訓練された者ということは明らかだった。
興味をひかれ、食事に誘って今はパスタ屋にいるのだが・・・・
「ねぇ、おにーさん、これ、何て書いてるの?」
どうやら文字が読めないらしい。
「俺はクロロ。クロロで良いよ。」
「あ、私。自己紹介もまだだったね。」
そういえばそうだ。
はそう言ってメニューをテーブルに置いてこちらを見た。
「私、・っていうの。ちょっと事情があってこの地域に来たんだけど、こっちの文字が全く分からなくてね。」
「俺はクロロ=ルシルフル。まぁ、此処に住んでるわけじゃないんだけど、用事があってな。」
はふーん、と相槌をうつと、再びメニューを開いた。
「でも良かった。クロロに会えなかったら私、多分今日何も食べれなかったと思うし。」
どういうことだ?
「こっちで通用するお金を持ってないんだよね。」
そう言っては財布を取り出して中に入っていた紙幣と硬貨を見せた。
見たことも無いもので、俺は少し驚いた。
「変わった紙幣だな。」
「まぁね。とにかくメニュー!教えて」
「あぁ、じゃぁ読み上げるからな」
そうしてメニューを読み上げた。
ちょっと間抜けじゃないか・・・?
「じゃぁ、キノコのスープパスタ」
俺は頷くと、ウェイターを呼んだ。
「カルボナーラとキノコのスープパスタを。」
「かしこまりました。」
一礼をして去っていくのを見ながら、がコレは何だと指差してきたのでそれに答えることにした。
「そこはデザートだな。ガトーショコラにチーズケーキ、・・・・ヨーグルトパフェ、フルーツパフェ、・・・」
「ヨーグルトパフェ!」
「・・・・飲み物を頼むのを忘れてたな。一緒に頼むからどれにするか選んでくれ。」
そこで、ジンジャーエールとコーヒーとヨーグルトパフェを頼んだ。
まったく、パフェをオーダーするなんて初めてだ。
『紅茶を・・・』
何だ?
何か声が聞こえてきて、目の前のの動作が一瞬固まったのを俺は見逃さなかった。
「・・・何か声が聞こえてこなかったか?」
「えっそうかなー。空耳じゃない?それか他のお客さんの話し声だったとか。」
はそう言って笑うと、軽く、コツンとぶら下げている鉄扇の宝石を叩いた。
嘘が上手いな。
「ところで、色々聞いても良いかな」
「どうぞ?」
堂々とは聞いてきた。
「その鉄扇、凄く気になるんだよね。」
恐らくが腰に下げている鉄扇は今まで多くの血を吸ってきたのだろう。
同じようなモノを良く見る俺には分かった。
「あはは、お兄さん、鋭いね。コレは、こーやって使うんだ、よっ」
はそう言って鉄扇を目にも留まらぬ速さで引き抜くと、俺の首筋めがけて突き出した。
俺は片手でそれを受け止めると、にやりと笑った。
「危ないなぁ」
「だって、おにいさん強そうだったし。しかも片手で難なく受け止めちゃってるじゃん」
つまんないね。は笑って言って鉄扇を戻した。
「だって、全然力入れてなかっただろ?」
「・・・・ほんと、鋭すぎて嫌になっちゃうねぇ」
丁度その時ウェイトレスがカルボナーラとキノコのスープスパを運んできて、は嬉しそうに瞳を輝かせた。
「いただきまーす」
いそいそとフォークを握ると食べ始めた。
こういうところを見ると、16、いや、18歳くらいか?
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