no title


バタバタ・・・・・

騒がしい足音が遠くから聞こえてきて、どんどん近づいてくる。


誰に聞くでもなくアイツだっていうのは明白。

ムゲンはだらしなく床に横になってこの足音の主が入ってくるのを待つ。


バタン!


部屋の前で足音が止まると勢い良くドアが開け放たれた。


「あー!!まぁたダラダラして〜」


休日のお父さんみたくダラダラしているムゲンを見て目くじらをたてる。


「まぁちょうどいーや、何かさ、ジンがどっかいっちゃってて買い物一人じゃ大変だなーなんて思ってたのよね。」


この街からの交通手段である船が、1週間に一回しかないというため、あと4日間ここに滞在する羽目になってしまった。
週に一便しかないためか、ここらの宿では大抵キッチンが使用できるようになっている。
滞在期間が長い為に食費節約の為自分で作りたいという旅人が後を絶えないからであろう。


「あぁ?買出しィ?」


ぼりぼり頭を掻いて欠伸をひとつ。


「ほら、欠伸なんてしてないで、行くわよ」


フウはムゲンをひっぱって立つように促す。
ムゲンは仕方ねぇなぁーと溢すと大人しく立ち上がってフウについていった。


「それにしてもジンは何処に行ったのかしら」


てくてく、道を歩きながら呟く。


「さぁな。まぁあいつも子供じゃねぇんだし、ほっとけ」


中々とまらない欠伸をかみ殺し適当に答える。


「そんなことより、お前よー・・・」


「何よ」


「ひまわりのサムライってーのが見つかったらどーすんだ」


そんな質問に怪訝そうに眉をひそめる。


「どういう意味よ」


「だから、その、何だ、、、だから、・・・・」


言いにくそうに言葉を濁して困ったように頭を掻く。


「何なのよ」


そんなムゲンを不思議に思い言葉を促す。


「あー、その、俺らとの旅は終わり・・・ってことか?」


柄にも無いことを言っていると、自分でも自覚しているのだろう。
心なしか顔が赤い。


「あははッ」


本人にしたら意を決して言ったのだろうが、フウに笑い飛ばされて拗ねたように不貞腐れた顔をする。


「ムゲンとジンさえよければ旅を一緒に続けるつもりよ?」


快活に言うフウにムゲンは少々呆気に取られる。


「あ・・・・・そっか・・・・」


ぽりぽり指で頬をひっかく。


「仕方ねえな、一緒に行ってやるか!」


そして照れ隠しに大きな声で言うと、足取り軽く歩き出した。


それを後ろから、変な奴。と面白そうに呟くと


「ちょっと待ちなさいよ!」


と、ムゲンを追いかけた。





fin