「海燕殿…」



小さく呟いた言葉は、雨の音に掻き消された。
















無音



















冷たい雨が身体をしたたかに打ち付け、濡れた死霸裝は体温を奪っていく。



冷たいを通り越して痛い。

指や足の感覚などとうに無くなっていた。

ゆっくりと上げられた顔には、どんよりと淀む瞳。




「私は・・・・・」



がくん、と膝を付き、うなだれると、泥が飛び散って顔を汚した。



「私は・・・・ッ・・・!!」




顔を拭うこともせず、すらりと自分の斬魂刀を引き抜いた。
美しいとされるその斬魂刀も、雨に濡れ、哀しく光を放つ。



「このまま生きながらえるのは、」




自分の心臓目掛けて

切っ先を突き立てる。





「耐えられぬ…」




瞳を閉じて。
手に力を込める。







その刀はルキアの胸を貫く筈だった。






キィン





辺りに金属音が響き渡り、予想していた、否、望んでいた衝撃は訪れる事無く手がじんじんと痺れる。



横から刀が伸びてきて、ルキアの斬魂刀を遮ったのだ。

凍え切った指で、手では、その衝撃に耐えられるはずが無く、





カラン





と、斬魂刀は音を立てて地へ伏した。





「あ・・・?」





何が起こった。と自分の両手を凝視してみると、しっかりと握っていた筈の斬魂刀は見当たらない。


変わりに、視界の隅に誰かの足と、地面に伏している斬魂刀が映った。






ざあざあと雨は音をたてているに違いないのに。


何の音もしない。







無音の中、ゆるゆると視界を上げていくと、銀髪の男が立っていた。
いつものへらへらした表情は、無い。




「…市丸…ギン…」



何時もの憎しみを、畏怖を込めて呼ぶ名前も今は力が無い。

大きく紫の瞳が見開かれ、ギンを映したと思ったら、どんどん紫の瞳は瞼に隠れていった。
同時にルキアの身体が傾く。








とさっ、と差し伸べられた腕の中にルキアの身体が落ちる。

既にルキアの意識は無い。








「駄目やで。ルキアちゃん。キミは・・・」






白濁する意識の中、ギンの声は霞んでいった。



















キミはボクのもんなんやから























































黒ギン×ルキアです。
あァ、でも白ギンルキも大好きなんで、そっちに以降するかも?
とにかくとうとうブリーチにも手を出してしまいました。
すみません・・・
しかもマイナーカプ大好き。
すみません・・・