※この話は裏の『月光浴』の続きになります。でも見なくても分かるようにしてるつもりです。











あの月の美しい夜。

僕達はひっそりと、誰に知られることも無く体を重ねた。


僕の心は歓喜で震えた。




あの夜のことは、僕にとっても、そして多分グレンジャーにとってもプラスにもマイナスにもなるんだろう。


きっとね。
























【ゲッコウヨク】



















彼女の声が嫌でも耳に入ってくる。
意識的に聞くまいとすればする程、その声に注意が向けられてしまって。


あの、彼女と体を重ねた夜から2日経とうとしている。


触れたい。
と思うが、日常生活の中でそれが叶うはずも無く、ただただ昨日の夜送った手紙の返事を待つのみ。









『明日の夜、あの場所で待ってる』





手紙に書いたのはそんな言葉。




彼女は来るだろうか。




そう考えると僕は暗澹とした気分になる。
どう考えてもあの夜の行為は自分が強引に迫ったと、思う。
だが、グレンジャーも受け入れてくれた訳で・・・・


相思相愛。ってやつだよな・・?




と、疑問に思った途端、僕は落ち着かなくなって。

『ハリー』と、にこやかにポッターに話しかけるグレンジャーに苛苛して。

グレンジャーしか意識の中には居なくなってしまう。





そうなると行動に移すには至極簡単で、僕は彼女が仲間と離れたのを見計らって話しかけた。








「グレンジャー」


それに弾かれたようにグレンジャーは僕を見た。


「マルフォイ・・・」



「どうしたの、こんな処で」


訝しげに眉を顰めながら周りを伺う。
どうやら近くに人は居ないみたいで、グレンジャーはそれを確認すると、腕組をして僕を見上げた。


「いや、まぁ、特に用は無いんだが・・・」


僕は話かけたものの、どうすれば良いか分からなくて言葉を濁した。
グレンジャーはそれにびっくりしたような顔をすると、クスクス笑い始めた。


「笑うなよ」


「おかしいんだもの。」



そして笑うのを止めて、僕を真っ直ぐに見た。

急に真剣な顔で見てくるものだから、僕は方をすくめる。




「何か、不安になることでも?」


急に何を言っているのか。
僕は分からなかったが、少し考えて、その『不安』がどういう意味なのか。どうしてそこでその言葉が出てきたのかが分かった。


何故話しかけたのか。
僕は、グレンジャーとの関係を不安に思ったり、彼女の親友(気に食わないが)との関係を不安に思っていたんだ。


そう思い立って、はた、と。

グレンジャーも僕と同じだったのだろうか。と思った。
グレンジャーも不安に思っているのだ。と。


「もう、まったく、何なのよ」


僕が返答しないものだから、グレンジャーは不機嫌そうに眉を寄せている。



「いや、君も、不安だったのか、と思ってね。」



にやりと、今、自分は嫌な笑みを浮かべているのだろう。
まぁ仕方ない。
君が僕と同じ理由で不安だったのか、と思うと愉快で堪らないんだから。



「・・・・・好きに解釈すれば良いわ」



グレンジャーは僕に背を向けながら言った。
その言葉が愉快で愉快で、一人悦になっていたのだが、思い出した。
何の為にグレンジャーに話しかけたのか。
僕は、手紙の返事は、と言おうとして口を開いた。


「グレンジャー、手紙の・・・・」


「今夜、10時頃で良いかしら」


と、遮られてしまったが、そう言ったグレンジャーが恥かしそうにそっぽを向きながら言うものだから。
ポッターたちもこんな表情をするグレンジャーを知らないだろう。
と勝手に決め付けて。
嬉しくなって。


「遅れるなよ」


と偉そうに言って、笑った。









続く


























無謀に連載話をどんどん開始しているような気がしてなりません。
おおう、この、無計画性。どーにかしてくれ〜〜