俺は、何がしてぇんだ・・?
アイツと旅するのだって、旅の初めのとき、アイツの言葉を無視して逃げることだって出来た。
こうして旅をしていても、ふらりと居なくなることだって出来る。
何で、俺はアイツと一緒に旅してんだ?
素朴な疑問が、ぼんやりとした頭に浮かんでくる。
疑問とは言っても、もう答えは出てる。
唯、その答えを認めたくないだけだ。
俺が、あんな女を好きなんて
認めたくねぇ
【芽生え】
正直、自覚したからどーのこーのって、俺が出来るはずがねぇ。
そもそもフウに平気で話しかけることも難しい。
普通の顔が出来ねぇから。
でも、一緒にいてぇから。
だから傍に行こうとしても、いざ傍に行くと逃げ出しちまう。
今回がいい例だ。
俺は腹がへって、でも金が無くて、宿にいるフウかジンに金を貰いに行ったんだが・・・・というか、出来ればジンに貰いたかったんだが・・・・
いたのはフウ。
事実、嬉しかった。
が、俺はこいつの前では癪だが、平常でいられねぇ。
「どーしたの、怖い顔して」
フウは荷物を整理していたらしく、荷物の前でしゃがみ込んでごそごそやっている。
俺を見上げる顔が、
やべぇ
「か、かか、金!金よこせ!!」
俺はどもる声を抑えることが出来ず、変な物言いになる。
「金ぇ?また女でも買いに行くの?」
フウは嫌そうな顔して言うが、冗談交じりなのはこっちも承知。
だが、そんな冗談に分かっていつつもムキになってしまう。
「バッバカ言え!んなこと今更するかよ!・・・・め、飯食いに行くんだ。飯。」
フウは不思議そうに首を傾げると、袖からいくらか小銭を取り出して『ハイ』と渡した。
俺は
俺は顔が熱くなるのを感じて。
フウの顔をまともに見ることが出来なくて。
「うがァ――!!」
と、叫んでバタバタと部屋を飛び出した。
情けねぇ限りだ。
これは、何とかしねーと、まともにあいつと旅を続ける自信がねェ・・・。
どうしたものかと頭を抱えてみても、俺の頭じゃ打開策が見つかる訳も無く。
かと言って、あのメガネに相談するのも気持ち悪ィし。
「俺は気にしない。気にしない。。。」
と自己暗示をかけながら宿へと戻ることにした。
もうかれこれ宿を出てから2時間くらい経ってるから、ジンも帰って来てるだろう。
ジンもいりゃぁ、まだマシになる、と思ったが・・・・・
甘かった。
ガラガラ
と音を立てて扉を開くと、そこにはフウとジンがいた。
俺はフウの姿が目に入って、頭の中で自己暗示しつつ平常を装って中に入った。が、頭はぐるぐると思考をしているようで、落ち着かない。
「おかえりー。」
とフウが言ってきて、俺は短く「おぅ」とだけ言った。
俺はフウの近くを避けて部屋の隅っこに行ってどかっと座った。
そして溜息。
「ちょっとアンタさっきから変よ?」
フウはそう言って立ち上がると、俺の隣へと歩いてきた。
心臓がばくばく言うのが自分でも分かる。
全く、心臓に悪ィ女だ。
フウは俺の隣に座ると、俺の顔を覗き込んだ。
「熱でもあんじゃないの?」
フウは自分の額と俺の額に手を当てて熱を測る。
額に触れたフウの手が、俺の体温に対して冷たいのが分かる。
というか、俺の顔が熱いのが、分かる。多分赤いんだろう。
ぐるぐると無い頭で思考する。
と、考えすぎて、これまでこんな事、しかもこんなに頭を悩ませる事がなくて、俺は脳がショートするのを感じた。
「ちょっと、ムゲン!!」
どうやら意識が飛んだらしい。
フウのその呼びかけ以降のことが頭に無い。
「大丈夫かしらねー」
フウはお茶を飲みながらジンと話していた。
ジンも湯のみを手にとって茶を啜る。
「知恵熱、というヤツだな。」
それ以外、あの化け物じみた体力の持ち主が熱を出すほどの原因が見つからない。
「風邪の菌に負けるようなヤツじゃないもんね。でも知恵熱って・・・・20歳にもなって知恵熱ってどーなのよ」
「・・・・・・・・・」
それからムゲンは一日寝込み、熱が下がった後は全て忘れたように、普段どおりのムゲンに戻っていた。
しかし、芽生え始めた『モノ』は確実に根を張り、成長を続けているのだった。
めでたし、めでたし♪
何か・・・似たような話でスンマッセン!!
こんなんばっかでスンマッセン!!!
ムフウばっかでスンマッセン!!!!(土下座)
てか、ホントに20歳で知恵熱って・・・・ねェ??
まぁムゲンだしいっか(笑)