好きなの?


と聞かれたら、嫌いだったら一緒に旅してる訳ないでしょ?
と、すぐ答えられる。


でも、


じゃぁ、愛してるの?


と聞かれたら、考え込んじゃって、すぐに答える事が出来なかった。























好き。と、愛してる。の違い































3人(というか、働いてるのは主にフウ)が、女将(ママ)の宿で住み込みのバイトを始めて以来、フウはそこで働いているハルと寝所を共にしていた。(漫画・サムライチャンプルーを参照)

最初は、今までのことを聞かれたり、普通に女の子同士が話すような内容を話したり、下らない内容を話したり。
しばらく働いて旅をするに十分なお金が溜まったため、3人は宿を後にしたのだが、ムゲンがそのバイト代をおじゃんにしてしまった。
結局また女将の宿で働く羽目になってしまってからも、それは変わらなかった。



お金がたまったから、お世話になりました。と言って出て行って。
同じ日にムゲンがバイト代を駄目にしてまた戻ってきて1週間が経った。


何時も通り寝る前のおしゃべりを楽しんでいたら、ハルが突然



「二人のこと、好きなの?」


と聞いてきた。


「そりゃぁ、まぁ・・・。嫌いだったらここまで旅してないし。」





だが、その後ハルから投げかけられた質問は、あまりにも予想外で、フウは一瞬、固まってしまった。









「じゃぁさ、愛してるの?」
















重い、重い、「愛してる」という言葉。


フウは言葉に詰まって俯いた。













「・・・っはは、ごめん、意地悪な質問だったね」


言葉に詰まったまま、途方に暮れた顔をしているフウを見るに見かねて、ハルはそう言って、その場の硬くなった雰囲気を解そうとした。

それにフウはほっと息をついて、にこりと微笑むことが出来たが、何か、胸に残るものを感じざるを得なかった。

それからいつもの他愛の無い話をして、笑って。
そして眠りについたのだが、やはりフウには何か引っかかる。





愛してる。


なんて。

考えたことも無かったから・・・・・







よく、恋人なの?
とか、
本当に好きなんだねぇ・・・
とか、
大事に思われてるのね
とか。


少し一緒に過ごした人には言われることがあったけれど。

愛してるの?

と聞かれたのは初めてだったから動揺してるんだろう。

と、自分に言い聞かせてフウは無理やり自分を納得させようとした。
しかし、その胸のひっかかるものは翌日になってもフウの胸から去ることは無かった。














































あれ?


フウは何時もと違う自分に、心の中で疑問の声を挙げた。


フウはあのハルとのやりとりのあった翌日、顔を洗っていたら後ろからあくびをしながら現れたムゲンと、眠そうに目を細めながら現れたジンを見て、何処か不思議な心地がしていた。


何か・・・いつもどおりに話しかけれない・・・。


同じ空間にいて何もしないのは明らかに怪しい。
そう思って、慌てて布で顔を拭き出す。
しかし、その行動も傍から見れば怪しい。が、そんなフウの様子に二人が疑問を抱くはずもなく、そのまま顔を洗い出す。


それをいいことにフウをそそくさと部屋に戻ったが、どうも変だ。



「はぁ〜〜・・・しっかりしなきゃ!」


ぱん、と自分の頬を叩いて自分を叱咤して


「よしっ」


と普段どおりの顔を鏡の前で真似てみて落ち着こうとした。
ついでに深呼吸をしてみると、落ち着いたような気がする。
そうして


「朝ごはん、食べよ」


というハルに元気良く返事をして部屋を出た。
































食事をするべく、二人で話しながら食堂へ降りていくと、先客がいた。


もちろん、ムゲンとジンで、フウとしては近くに座りたくなかったのだが、ハルが自分を引っ張って二人の座るテーブルへ行ってしまった。



特に声をかけるでもなく、フウとハルはテーブルについた。




目の前には、もくもくと食事を口にいれるジンと、がつがつと朝飯を口にかきこんでいて、ハルは


「・・・・毎朝のことだけどさぁ、良く食べるわよねぇ〜・・・ってフウに言っても意味無・・・・・・・アレ?」


と、フウを見やって同じく勢い良く朝飯をかきこんでいると思いきや、ぼーっとしながら細々と食べているため、驚いてフウを覗き込む。


「ねぇ、大丈夫?」


その声にフウは、はっとするが、ハルだけではなく、前にいたムゲンとジンもフウを見ていて、


「あっえっと、、、何でもないって」


急いで両手で否定を表しながら笑う。
が、ハルは何か察したみたいで


「ふーん。まぁ元気なら良いけどね。」


と、話を打ち切って食事に戻った。
それにフウはほっと胸を撫で下ろす。
前にいるムゲンは再びご飯を勢い良く食べてるが、ジンは未だ訝しげな視線をフウに向けている。
それにフウはどきっとして、自分の箸に目を落として、もくもくとご飯を食べた。
それから重苦しい雰囲気になるかと思いきや、ハルの助け舟により、食卓は明るいものとなった。




まぁ、昨日の話を持ち出したの私だし、助け舟くらい出さないとね。


と、心の中で呟きながらハルはフウと談笑を続けた。









続く
























ハイ、日記のまんまです。
ちょこちょこ変えてますが多分分からないと思います。
書き下ろそうと思ったんですが、他のジャンルで力を使い切りました(涙)
暫くは日記でこそこそ更新しますね〜