白い髪の女が街を奔走する。 女は目立ちすぎるその髪をフードに納め、何かを探すように走る。
「何処に行ったのよ・・・・」
苛立ちを含んだ声で呟くと、辺りを見回し、立ち止まって何かを待つ。
暫くすると、一匹の獣が彼女の傍に走ってきた。
獣は今まで走り回っていた為に息荒く彼女に擦り寄る。
「あの馬鹿は?」
女は急かすように獣に尋ねる。
『見つからなかった』
女は獣の言葉を聞いて怒りに任せて地面を蹴散らした。
「もういいわ、今日は。明日、探すわよ。」
『あぁ』
女はそう言って宿へと入っていった。
「あの男・・・・相当腹がへっていたようだな。」
ジンは豪快にムゲンと共に飯を口に入れる男を見て言った。
昨日、ここらを生業にするヤクザどもと揉めてるところに出くわし、ムゲンがそれに乱入して、何故かちょっとした縁が出来てしまった。
何故かご飯を奢り、そのまま一緒の宿に泊まることになったのだが、、、
どうも、何処と無くムゲンに似ている。
外見上は全くもって異なるのだが、気質が似ているのかもしれない。
そんなことをぼんやりと考えていると
「おい、女」
と、男が言った。
そのぞんざいな言葉に目くじらをたてる。
「あのねぇ、女、は無いでしょ!?私にはフウって名前があんだから!!」
「そうか。聞きたいことがあるんだが」
男はあまりフウの言葉に気にした様子も無く続けて言った。
「白い髪の女を見なかったか」
フウは知らないと言う代わりに傍の二人に尋ねた。
「あんた達知ってる?」
答えは否。
男は、そうか。と大して気落ちした様子も無く返した。
「てかよぉ、お前、名前何てーんだ」
昨日知り合ったのにまだ名前を聞いていないのか!というツッコミは置いといて、基本的な質問を口に飯をいっぱいに詰め込みながら尋ねる。
「俺はレイジだ。」
男はそう言って二杯目の飯に取り掛かった。
まるでここで大食い大会が開かれているかのように男二人は飯を口いっぱいに詰め込む。否、胃に流し込む。
「アイツ何なのかしらねー」
大食い大会を続ける二人を置いてジンとフウは買出しへと出かけることにした。
「さぁな。だが、此処らの人間ではないのは確かだな。」
「そーねぇー。あ。あれ欲しい」
そう言ってフウは果物屋さんに入っていく。
「・・・今日は食料以外を調達しに来たのだが・・・」
ジンは溜息をついてフウのあとに続いた。
一通り買い物をして、いっぱいの紙袋をジンに抱えさせて宿に帰っていると、ムゲンとレイジが一緒に出てきた。 二人は話が合うのか、気性が合うのか、けらけら笑いながら歩く。
「あら、出かけるの?」
「ああ、お前らのことだから、酒は調達してねぇだろうなと思ってな」
ムゲンは笑いながら言う。
「ふぅーん。まぁ程ほどにね」
と言った瞬間、遠くから何かが走ってくる音がした。
どんどんその音か近づいてくる為、4人は何事かと音の方向を見ると、一人の女が巨大な鉄扇を手に物凄い勢いで走ってきているのを認めた。
とっさにムゲンとジンは身構える。
そして、女はレイジに特大の鉄扇を繰り出した。
横凪に出された鉄扇は、剣に受け止められたものの、レイジはその重圧に支えきれず、吹っ飛んで壁にぶつかる。
がらがらと、音をたてて、壁が崩れる。
「いってぇ〜〜」
豪快なやりとりに3人は女とレイジを交互に凝視する。
「なぁーにこんな所で油売ってんのよ!」
女は鉄扇を納めながら言った。
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