ほっと一息



















靖伯が殺生丸の代わりに今日の仕事をやってやると告げてその場を去り、後には殺生丸とりんが残された。
殺生丸は何も言わずにりんを阿吽の背へと乗せ、自分は手綱を引く。



「?」



りんは不思議そうに首を傾げたが、すぐに顔を輝かせた。



「殺生丸さま、どこかに連れてってくれるの?」


「・・・・・・・・」



無言は肯定。




「やったぁ〜♪」


「今日、城を案内出来なかったからな」



それにりんはぶんぶんと首を横に振った。



「殺生丸さま、お仕事があったんでしょ?それに靖伯さまが案内してくれたし。楽しかったよ?」



嗚呼・・・・やはり靖伯に任せるんでは無かった。
ヤツの株が上がるばかりではないか。



いらいらっと殺生丸の雰囲気が刺々しくなるも束の間、すぐに収まる。
その理由はやはり傍らの少女。

どうも殺生丸の機嫌はこの少女にかかっていると言っても過言ではないようだ。



「でも嬉しいな。殺生丸さまとお散歩なんて、久しぶりだもん」



そうして嬉しそうに微笑む顔を向けられては怒気も収まるというもの。










ふっと身体が浮いた。


あれあれと言う間に地面からどんどん離れていく。



城の周りは森がぐるりと囲み、森の次は断崖絶壁。
常人にはまず入り込めまい。



りんは初めて城とその周りの全貌を見た。



「お城って広かったんだね」



「知らぬのも致し方あるまい。内殿がお前の主な行動範囲ゆえ。」



まぁあと数ヶ月もすればもう少し行動範囲は広げられるだろう。



心中で呟くものの、殺生丸は知らない。
これから靖伯がりんを連れまわすことを。





































暫く沈黙が流れ、唐突に殺生丸が口を開いた。



「城に居るのは嫌か?」



それにりんは首を横に振って否定した。



「利衛さまは優しいし、皆良い人だし、それに靖伯さまがとっても暖かくて大好き。お兄ちゃんみたいなの。だから平気だよ」



それに少なからず傷つく殺生丸。
殺生丸の耳からは靖伯さま大好きという、りんの言葉が耳にこびりついたままだ。
しかし、そこは流石りん。しっかり殺生丸のフォローも忘れない。



「それに、殺生丸さまがいなくなったりしないから、りんは嬉しいし。」



えへへ、と照れて笑う顔はとても愛らしくて。
殺生丸は必死で自己を制した。


「そうか…」
























































順番が前後しますが、upです。
やっと二人になれた殺生丸様。
というか、この連載では殺りんな場面が少ないというか、少なくなる予定なので、今のうちに出しとけということで(笑)