ゆっくりと青年は顔をあげてを見た。
真っ黒な瞳。
射るような視線が、痛かった。
Space Sonic #2
「お前、名前は」
「あ、私は。ええ、と。クロロさんは何で此処に・・・・」
もしや変質者!?
いやいや、でもこんな態度のでかい変質者っているのかしら。
しかもそういう方面には不自由してなさ気だし・・・。
「ああ、気が付いたらここにいたんだ。」
「はい?」
全くもって意味が分からない、といわんばかりには言った。
「それがだな。本を読んでいて、気が付いたら此処に居た。ということだ。」
「はぁ・・・」
本ねぇ・・・とがクロロの読んでいる本に目をやると、記号のような文字で書かれている本の題名が目に入った。
「何かの暗号の本ですか?」
「は?いや、普通の文字なんだが・・・というか、これは何だ。これこそ暗号だろう。」
クロロはそう言って新聞をに見せた。
「それは新聞じゃないですか。ってか、日本語ですから。お兄さん、日本語喋れるのに読めないの?」
「ニホンゴ?何だそれは」
「・・・・・」
は家を飛び出したい気分になった。
どう考えてもこのクロロという男はおかしい。
ああ、サラ家に本当に居候しようか・・・。
「分かりました。クロロさん。私、出て行くんで、思う存分この家を使ってください。じゃ。」
さて、荷物をまとめるか、と出て行こうとしたの手をクロロが掴んだ。
「待て。俺はどうやらここの言葉も分からないんだぞ?そんな俺を放っておく気か?」
「いや、貴方だったらきっと大丈夫ですよ。」
が冷たくあしらって出て行こうとすると、その首に冷たいものが当たった。
変わった形のナイフだ。
「俺に此処のことを教えろ。さもないと殺す。」
はううーん、と悩んだ。
「面倒・・・」
ぼそりと呟いた言葉はしっかりとクロロに聞こえたようで、クロロはナイフを持つ手に力を入れた。
「うわっ!嗚呼、分かりましたよ。色々教えますからナイフしまってー!!」
クロロはふん、と鼻を鳴らしてナイフを仕舞った。
「でも、今日は眠いんで、明日からにしてください。」
「いいだろう。・・・ところで敬語、止めろ。何か気に食わん。」
何だ、敬語いらないの?
は表情でそう言うと、にっこり笑った。
「うん、その方が助かる。だって、クロロさん、これから暫く家にいるんでしょ?家の中で敬語ってあんまり使いたくないんだよね。」
「クロロで良い。」
「ん、分かった。」
しかし・・・とはクロロを見た。
「御風呂はいるよね?着替えどーしよー」
ふむ、と考えては思い出した。
確か随分前に父親が一応数着服を置いていったのを。
「ちょっと待ってて?」
はそう言って2階へ急いで上がった。
物置になっている部屋にあるクローゼットをあさると、数着のスーツとネクタイ、あと数枚のシャツとスラックス、スポーツウェアが出てきた。
はスポーツウェアとTシャツを掴むと下へ降りた。
「とりあえず、寝るときはこれでも着て?明日いるものを買いにいくから今日だけ我慢して」
クロロは、別にずっとこれで構わんが・・・と言いながら受け取ったが、は、外を出歩くときの服がいるでしょ?と言って笑った。
「御風呂、先にはいる?」
「いや、後で良い。」
「ふーん、じゃぁ先に入るね。」
はそう言ってリビングを出て行こうとした。
「、お前、変な女だな。」
殺気を(微量だが)向けても怖気づかない。
というか、自分に警戒もせずに家に置いてくれると言う。
「もうちょっと警戒心というものを持て。危ないだろう。」
何故、こんな忠告をするのか自分でも理解できないまま、クロロは続けて言った。
「ははっクロロも面白いこと言うね。」
はちょっと呆れたように言った。
「ま、勘ってやつ?クロロはきっと、同居人としては悪くは無いんだろう、って思ったんだ。ちょっと、この家に一人っていうのも寂しかったしね。」
クロロはそう言われて確かに、と頷いた。
この家は一人暮らしには大きすぎる。
「ま、そういうことだし、これから暫く宜しく。」
「ああ」
「でも、クロロが昼間いるんだったらハウスキーパー入れない方が良いか。」
はそう一人ごとを言うと、電話を取った。
どうやら暫くハウスキーパーに入ってもらうのは週1にして貰おうと思ったらしい。
電話をし、手続きも済ませると、は風呂に入りにリビングを出た。
Next