Space Sonic #1
は大きく背伸びした。
隣ではサラが楽しそうに漫画を読んでいる。
現在高校2年生。
正にピチピチである。(サラ曰く)
「楽しそうねぇ・・・・」
はぽそりと呟いて傍らに置いていた本を再び開いた。
「あんたも楽しそうじゃない。この活字中毒者が。」
サラは吐き捨てるように言って、自分の読んでる漫画の最初の方の数冊を取り出した。
ずいっとの読んでいる本の上に強引に乗せて、にやりと笑う。
「アンタも読んでみれば?中々楽しいわよ?」
は無言のまま、サラの押し付ける漫画を手にとってぱらぱらとめくった。
そしてすぐに横に置いて再び本を読み始める。
かの有名なヨースタイン・ゴルデルの『ソフィーの世界』だ。
「そんな終わりの見えないぶっとい本読んでないで、息抜きに読めばいーのにー」
「うーん、コッチも息抜きに読んでる本なんだけどね・・・」
苦笑して、はぱたん、と本を閉じた。
観念したのだろう。
というか、随分前からサラが進めてくる漫画がどんなものか、ちょっと気になり始めたのもある。
「ふふん、やっと読む気になった?まだまだ出てこないけど、クロロって人が多分好みなんだって。読んで読んでっ♪」
「何?私好みとな?」
「あれ?言ってなかったっけ」
予想外に食いついてきたのに驚きながらサラはおどけて言った。
「聞いてない。えーどんな人だろ。楽しみ〜」
「の理想は変だからねぇ・・・そりゃ出会えないでしょうよ。好みの人に。」
サラは遠くを見るような目でふう、と溜息をついた。
「あのねぇ、サラの趣味も相当なもんだから。言っておくけど。」
「ま、読め読め♪」
そうして進められるままには漫画を読み出した。
の読む速度は速い。
15分ほどで漫画一冊読んでしまう。
漫画の世界に引きこまれ、どんどん読み進めていく。
すると、2,3冊読んだところで、携帯が鳴った。
「あ、そろそろ帰んなきゃ」
アラームを止め、は立ち上がる。
「えー、帰っちゃうのー?いいじゃん、今日も御父上と御母上はいないんでしょ?晩御飯食べてきなよ」
「いーよ、昨日も一昨日もご馳走になったし。それに夕飯の材料買っちゃったし。」
「ふーん、じゃぁコレ、持って帰って」
そうしてサラは漫画、ハンター×ハンターを5冊ほど紙袋に入れてに渡した。
「ん、ありがと」
は有難く受け取ってサラと共に階段を降りた。
階段を降りた所からは居間が見え、そこにいたサラの母親がが帰るのを認めて出てくる。
「あら、ちゃん、今日は帰っちゃうの?」
「あ、はい。いつもすみません。ご馳走になっちゃって。」
サラの母親はとても良い人だとは思う。
とても暖かい。
うちとは大違いだ。
「いいのよ、ちゃんは気も利くし、可愛いし、おばさん、ちゃんのこと大好きだから。」
「有難う御座います。また、遊びに来ますね。」
「もう、いっそのことウチに住んじゃえば良いのに〜あたしの隣の部屋、空いてるよ?」
「そうねぇ、カエデの部屋には大体の家具はあるし、カエデもちゃんのこと気に入ってたから喜んで部屋を貸すと思うんだけど。」
サラにはもう社会人の姉のカエデがいて、昔はよく3人で遊んでいたものだ。
はカエデを姉のように思い、またカエデもを妹のように思っていた。
「あはは、気持ちは嬉しいんですけど、大丈夫です。有難う御座います。」
大好きなこの家族。
自然と穏やかな笑顔になった。
「ただいまー・・・って、誰もいないか〜」
ハウスキーパーはお昼だけいて、家の掃除をしたり、食材を買い足したりしてくれている。
夜はが気を使うから、と雇っていない。
たまに夕食を共にするが、何処か緊張してしまって、あまり好んで一緒には食べない。
だから、この家には誰も居ないはずなのだ。
それなのに
「ああ、おかえり」
と、リビングに入るなり返事が返ってきたのには驚いた。
へ?
きっと大分まぬけな顔をしている自覚はあるが、開いた口がふさがらないとはこのこと。
は声のしたほうを勢い良く見た。
「・・・・ダレ?」
「お前がここの家主か。俺はクロロ=ルシルフルだ。」
我が物顔でソファに腰掛け、本を読んでいる青年はそう名乗った。
ハイ、逆トリップです。
しかし、数話後にはちゃんとトリップします。
ご安心下さい(笑)
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