気が付いたらは屋敷の一室にいた。
きょろきょろと辺りを見回すと豪奢なベッドに自分がいるのが分かった。
母と父はいないようで、は顔を曇らせる。
ああ、あの男の人たちに連れてこられたんだ。
暫くすると女の人が入ってきて、を他の部屋へと連れて行った。
連れてこられた部屋には厳格そうな祖父が居た。
写真で見せて貰ったことがある。
『これがお爺様よ』と。
「おじいさま・・?」
そう尋ねると、笑って頭を撫でてくれた。
厳格そうなのに、何処か優しい。
何故か違和感を覚えた。
そして、両親は何処と聞いたら、祖父から信じられない言葉が告げられた。
「レーンとジョージは、死んだ」
理解できずには大きく目を見開く。
全く理解できない。
死という概念が良く分からなかった。
祖父・シュタインは優しい人だった。
しかし、シュタインはこの家の歴史に逆らうことは出来なかったという。
束縛するのは血。
魔女の血は絶大な評価を誇るものだった。
翌日から、剣術、体術、様々な稽古を受けさせられた。
酷く辛かった。
そしてじわじわと実感した。
もうお母さんとお父さんには会えない。と。
でも、悲しむ暇もない程稽古は辛かった。
たまに、祖父と楽しむティータイムと、唯一優しい、正に母親のような先生が教えてくれるダンスが楽しみになっていった。
「傷は、大丈夫かい?」
「はい、おじいさま」
にっこりと笑うに、シュタインは悲しそうな顔をして頭を撫ぜた。
優しくティーカップから湯気が立ち上って、紅茶の匂いが漂う。
「・・・・すまない・・・・」
「何が?」
分かってる。
でもはいつもシュタインの謝罪の言葉をはぐらかした。
結局は好きなのだ。
この祖父が。
そして、その日はやってきた。
パーティの翌日にベッドに飛び込んで、暗闇に飛ばされたかと思うと、この世界に紛れ込んでいたのだ。
そこで、は語っていた口を止めた。
「どうした?」
クロロは止まったに疑問の声をかけた。
「私は、多分ここに来る前誰かに会ったの。でも、そこだけ思い出せない・・・」
の記憶からは、やはり目を瞑ってベッドに飛び込んだところから、クロロに出会うところまでが消えていた。
つまり母との会話の欠落。
「まぁ、とにかくお前は100年に一人の魔女で、水と話せるってことか。」
面白い。
クロロは益々笑みを深めた。
「ところで」
が口を開き、顎に手を当てて思案していたクロロはを見た。
「おなか空いちゃった」
えへへ
笑うにクロロはそうだな・・・と呟くと、席を立った。
20分後。
テーブルの上にはベーコンエッグとパンとホットミルクが並べられた。
「食え」
クロロはそう言うと、の隣の椅子に腰掛けて再び本を読み出した。
きれいに焦げているベーコンエッグは、どう見ても美味しそうじゃない。
「いただきます♪」
は臆する事無く口に運んだ。
むぐむぐと口を動かすと、こげた味が口に広がって顔を顰めた。
「・・・・・・・・」
「・・・・・何だ」
無言で自分をみつめてくる。
「・・・・明日からは私が作るね」
尋ねるとにっこりとそう言われて、少なからずショックを受けたクロロがこっそりと料理の勉強をし始めたのはここだけの話。
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やっと出てきましたクロロさん。
すみません、回想編が存外に長くなってしまって。でもこれからはクロロさん出まくりますので。