「あーん!!なんで勝てないのよー!!!!!」
またしても将棋でジンに負けたフウは両手で将棋の駒をぐしゃぐしゃにして寝転んだ。
畳に思いっきりぶつかって、少々背中が痛む。
「手加減ってものを知らないのかねぇ」
その痛みも相まって、恨みの篭った声で呟くと
「勝負である以上手加減は出来ん」
と涼しい声が降ってきた。
「ケチー」
口を尖らせてぼやく。
ジンは、もうフウからそう言い慣れているのか、はたまた煩わしいだけか定かではないが、その声を無視して、立ち上がった。
そうして、勝負は勝負だ。と何時もの落ち着いた声で言うと、部屋を出て行った。
その背中を見送り
はぁ
と一息ついて、ごろんと転がると、ダラダラ寝そべるムゲンと目が合う。
ムゲンは目があうと、にやり、と口の端を上げた。
「また負けたのか。懲りねぇな、お前も。」
馬鹿にするように、、、と言うよりも呆れたように言うと、フウは食いかかる。
「余計なお世話よッ」
そして言い終わると、再び転がってムゲンに背を向ける。
ムゲンは面白くなさそうに、体をフウの方に向け、肘をついてその手の上に頭を乗っけた。
「なぁ、」
「何よ」
ジンに負けたのがまだ効いてるのか、いささか拗ねているような物言いになる。
「こっち向けよ」
急に発せられたムゲンらしからぬ言葉に、フウは目を見開いた。
fin?
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