苛々が止まらない。
何だって、ハーマイオニーがグリフィンドールなんだ。
何だって・・・・・
ハーマイオニーを助けるのは僕じゃなくてあいつらなんだ・・・・
You make crazy#5
トロールが侵入してきたと知らせられて皆が寮へと避難している中、ドラコは人込みの中をうろうろ、ハーマイオニーの姿を探していた。
そう、愛しのハーマイオニーがこんな日に限って食事の席に居なかったのだ。
つまり、今どこにいるか分からないという訳で…
ドラコはハーマイオニーを探しに走り出した
「くそっ、どけよ」
と悪態をつきながら人を掻き分けて進んでいると、ドラコの耳に二人の少年の声が聞こえてきた。
その主はドラコにとっては敵とも言うべき二人。
今は構っている暇など無いものの、二人の会話の中での「ハーマイオニー」という単語に、ドラコの耳が反応しない筈が無かった。
ドラコは目もくれなかった二人に目を向ける。
「・・・・・って事は、ハーマイオニーはこのことを知らない!」
二人は顔を見合わせて言い、人の流れに逆らって走りだしていった。
「うわっ」
「何やってんだよ!」
どんどん、と二人は人にぶつかりながら走るため、所々で声が挙がる。
「あいつら…」
ドラコが二人の後を追い掛けようとした時、
「何処に行くんですか」
厳しい顔をしたマクゴナカルがドラコを引き止めた。
「いえ、妹が中に取り残されているらしくて。」
ドラコはそう言ってマクゴナカルの横をすり抜けて行こうと、足を踏み出したが、むんず、とマクゴナカルに掴まれてしまった。
「貴方は非難してなさい」
マクゴナカルは有無を言わさずに監督生にドラコを押し付けると、自分はさっさと人の流れに逆らって行ってしまった。
「離せっ!」
怒鳴るものの無駄。
監督生はドラコを引きずるようにして寮へと入っていった。
ハーマイオニーは目前に迫り来るトロールを前に身を硬くするしか出来なかった。
嗚呼、何故こんなことになったのだろう。
そう思うのも後の祭り。
今はどうするかを考えるのが先決ではあるが、未だ入学したての小さい魔女には成す術が見つからない。
冷や汗が額、頬を伝い、杖を握り締める震える手に落ちる。
一歩一歩トロールは近づいて来て、ハーマイオニーは顔を青くして、瞳を伏せた。
瞬間
「「ハーマイオニー!!」」
飛び込んできたのはハリー・ポッターとロン・ウィーズリー。
「ハリー!ロン!」
飛び込んできた二人にトロールの注意は向き、ハーマイオニーはその隙に硬直している身体に鞭打って動こうとするが、未だ足の震えは止まらない。
ぶんっと音を立ててトロールはこん棒を二人目掛けて振り下ろした。
「うわっ」
「わぁあっ」
二人は慌てて飛び退いてトイレ内を這いずり回る。
ハリーはトロールがロンを追う隙に、トロールに飛び掛ると杖を振った。
しかし、入学したてのためか、杖はぱちっと静電気を発すると沈黙した。
そうこうしているうちにトロールは自分にしがみつくハリーを払おうとする。
ハリーは振り払われる前に杖をトロールに突き刺した。
「何をしている!!」
鋭い声が飛んだのはそれから数秒後だった。
声の主はスネイプで、スネイプはトロール目掛けて杖を振るい、トロールは目を回して其の場に倒れこんだ。
どすーん、と、木片とコンクリートの欠片を撒き散らしてトロールは倒れた。
そして木片がハーマイオニーの腕に突き刺さった。
「っつ!」
スネイプは杖をトロールに向けたまま手前にいたハリーとロンを外に出し、「ハーマイオニー・マルフォイ。此方へ。」と、ハーマイオニーを呼んだ。
ハーマイオニーは腕を押さえ、きゅっと瞳を閉じると急いでトロールの横を通り抜けた。
「まぁ、生徒がまだ居たのですか!」
ばたばたと走ってくる音とともに、マクゴナカルの声が聞こえてきた。
「あなたたちは・・・何故逃げていないのですか!」
ふるふると手を震わせてマクゴナカルはハリーとロンを叱り付けた。
厳しい目で見据えられてハリーとロンはどうしたものかと顔を見合わせた。
「すみません、マクゴナカル先生。私が悪いんです。二人は私を助けてくれたんです。」
「説教は後にして、3人を皆の元へお願いします。」
スネイプは硬い表情でそう言うと、駆けつけた他の先生と何か話しはじめた。
「え、ええ。そうですわね。とにかく3人とも無事で何よりです」
マクゴナカルはほっとしたように顔を緩めると、ハーマイオニーの腕を見て眉を顰めた。
「さ、急いでマダムポンフリーの所へ」
そうして3人は皆の元へと急いだ。
この連載は話がすすみません・・・
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