「はぁ・・・心配だわ、今日からホグワーツで生活なんて・・・」
ホグワーツ入学当日。
マルフォイ家での朝食の席でナルシッサがハーマイオニーとドラコを見やりながら言った。
昔から心配性な母親にドラコとハーマイオニーは曖昧な返事をして食事を口に入れる。
子供たちが自分のこの極度の心配性に飽き飽きしているとは露知らず、ナルシッサは嘆くように顔を覆って溜息を吐き出した。
そして顔をゆっくりと上げると、ハーマイオニーを見据え、心なしか青ざめたその顔で言葉を続けた。
「ドラコはともかく、ハーマイオニー、変な男性には気をつけるのよ?」
ごほっ
何でそうなる!!
その場にいたルシウス、ハーマイオニー、ドラコはナルシッサを一斉に見た。
寂しくないかしら、とか、共同生活なんてやっていけるかしら、とか、他に言うことはごまんとある。
それなのに何故そういう話になるのか・・・・・未だに、イマイチ性格を解せない。
「お、お母様・・・あの」
私まだそんな年じゃ、と言いかけたハーマイオニーを遮ってドラコが口を開いた。
「僕がいるから大丈夫ですよ」
気持ちを落ち着かせたドラコがさらりと言う。
しかしその心中は穏やかではなかった。
母の言葉に気づかされるまで、ドラコの頭の中にはめくるめくハーマイオニーと過ごす薔薇色の学生生活しか存在し無かった。
しかし母の言うとおり、いわゆる悪い虫がハーマイオニーにつく可能性があり得るのだ。
嗚呼・・・そんなこと、考えただけでも虫唾が走る!!
許さん!断じて許さんぞポッター、ウィーズリー!!!!←(ヲイヲィ、まだ出会ってないだろ)
「そうだな。ドラコ、万一何かあったら、すぐに知らせるんだぞ。」
ドラコがかろうじて笑顔を浮かべながらも、頭の中でそんなことを叫んでいると、父の声が耳に入ってきた。
はっとして見ると、怪しく笑みを浮かべる父。
そして共に八つ裂きに・・・。
ドラコとルシウスの瞳が怪しく光る。
そんな二人に気づくはずもなく、ハーマイオニーはさっさと食事を済ませると、「じゃぁ私は荷物を確認してきます」と言うと席をたった。
「あ、じゃぁ僕も・・・」
と、ドラコも席を立ったのは言うまでもない。
数時間後、二人はホグワーツへと向かう電車の中にいた。
心配するナルシッサを上手くなだめるのに、ゆうに3,40分はかかったであろう。
あの母親をあの父親が上手く落ち着かせていられるのか、大変不安ではあったが、電車の時間は待ってくれない。
時間が無いから、と、電車に乗り込んだが・・・・・・。
母と父を思いつつ、がたがた揺れる電車の窓の外を眺めた。
「ホグワーツってどんなところなのかしらね・・・。」
ため息を溢しながら言うハーマイオニーに口の端を吊り上げてドラコは答えた。
「何だ、怖いのか?それとも、もうホームシックか?」
意地の悪い兄の物言いにハーマイオニーはむっとしてドラコを軽く睨み付けた。
いつも思うが、この兄(と言っても双子だが)の口の悪さというか、意地の悪さはどうにかならないのだろうか。
「そんなこと無いわよ!ドラコこそ、今までみたいな生活が出来なくてすぐホームシックになっちゃうかもしれないわね。」
つんと顔をそらすハーマイオニーに苦笑して、ドラコはハーマイオニーを引き寄せた。
ハーマイオニーはまだ何か言いたそうに口をもごもごさせていたが、諦めて口を噤んでドラコを上目遣いに睨んだ。
その可愛さったらありゃしない!!(byドラコ)
思わず腕に力を入れて幸せをかみ締めた。
そんなこんなで数十分。暇をもてあましたハーマイオニーはドラコの「僕もついていく!」を振り切ってコンパートメントを出て散策し始めた。
外に出てしばらく歩くと、少しぽっちゃりした少年がふらふらしているのが目に入る。
どうしたのかしら・・・
「どこに行っちゃったんだろう・・・・」
泣きそうな顔でそう言う少年にいてもたってもいられなくて、ハーマイオニーは話しかけた。
「ねぇ、あなたどうしたの?」
「トレバーが・・・僕のペットがいないんだ」
今にも泣き出しそうな少年を放って置けなくて、ハーマイオニーはネビルと一緒にトレバーを探すことにした。
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