何だか夢を見ていた。

よく覚えてねぇが、とにかく、真っ暗だった。




バグ




此処は真っ暗で、俺はとにかく光が欲しかった。
刀が手に無くて、俺らしくもなく恐怖感が益々募って
空高く手を伸ばして、何かに触れようと必死で暗闇をまさぐっていた。

その時、暖かいものが手に触れて、はっと、俺は目を覚ました。

目を覚まして、初めて目に飛び込んできたのはフウの覗き込む顔で、その顔は困惑しているようだった。
(後から考えてみれば、どうやら俺は反射的にフウの手を掴んでいたらしい)
俺は何故かその存在に安心して、なりふり構わず抱きついた。


フウは呆気に取られて、何が起こったのか分かっていないみたいだった。


「ど・・・・うした、の?」


フウは慣れない手つきで俺の背中に手を回して、なだめるように背中をさすった。
ぎこちない手つきだと、心の何処かで思ったのを覚えてる。
だが、その時、俺はいつになく気が動転していて、ただ、フウに縋り付くしかなかった。


「・・・・・ねぇ、大丈夫?」


ややぁあって、心配そうに尋ねてきた。
フウは俺の様子を気にかけていたが、俺があまりにも力を込めて抱きつくもんだから、少し苦しそうに体を動かした。


「・・・・・こわいゆめをみた」


俺は何とか、それだけ答えると、また口を閉ざした。


「・・・・ねぇ、泣いてるの?」


背中をさすっていた手の片方を頭に移動させて、子供を落ち着かせるように、頭を撫でる。
まったく、情けねぇ、まるで俺は大きな子供だ。


「泣いて、ねぇ」


俺はフウの袖で乱暴に目を擦った。
そんな俺にフウは苦笑しているようだった。


「・・・ねぇ」

「しばらく」


何か言いかけるフウの言葉を切って、俺は言った。
フウは自分の言葉を遮って俺が言おうとしていることを聞こうと、口を噤んだ。


「しばらく、このままでいてくれ」





























「ねぇ、泣いてたよ、寝ながら」


一時間もたっただろうか。
俺はもう落ち着いてて、フウの傍に犬のようにうずくまってうとうとしていた。


「あぁ?」


「何の夢見てたの?」


俺は顔をしかめて、考えてみたが、覚えてるのは暗闇だけ。
考えた結果は


「覚えてねぇ」


何よそれ。


フウは苦笑して、それからは夢について何も聞かなかった。
俺も何も喋らず、ただ、フウの傍にいた。

珍しいもんだ。

でも、この時は、ただ傍にいたかったんだ。
何故かあいつの傍は居心地が良くて、俺はそのまま眠りに落ちた。
今度は何も嫌な夢は見なかった。
・・・・気がする。







fin









今、サムライチャンプルーがきてる!!(笑)
てか、この話はあるサイト様のイラに触発されて書いたものです。
天然極楽本舗という素敵なサイト様です。
皆様、是非是非行ってみてくださいませ♪
というか、この話、本当はもっと暴走したかったんだけど・・・・
何か暴走したら裏行き酷いものになりそうだったんで、自粛してみました。
さてさて、どんどん更新していきましょう(笑)